創業から100年、熟練の技と最新技術で伝統の味を守る/京粕漬魚久(連載第1回)

創業から100年、熟練の技と最新技術で伝統の味を守る/京粕漬魚久

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粕漬の有名ブランド“京粕漬魚久”で知られる株式会社魚久では、粕漬をどのように作っているのでしょうか?全4回の連載形式でその秘密に迫ります!連載第1回のテーマは、熟練の技と最新技術による「切身加工」です。

食材を無駄にせず、さらに美味しくする粕漬けは平安時代の文献にも登場
 酒を絞った後の酒粕に魚や野菜を漬ける粕漬は、古くから日本人に親しまれてきました。その歴史は平安時代まで遡ります。最初に登場するのは「延喜記」で、当時は茄子、冬瓜、茗荷などを漬けて食べていました。しかし米を原料とした酒は奈良時代にはつくられていたので、その頃からつくられていたのではないかとも言われています。
 日本は四季があり、自然も豊かですが、食材が豊富に収穫できる国土ではありません。そのため食材を無駄にしないで上手に「始末」し、さらに美味しくする術を身につけてきました。「粕漬」もそのひとつと言えるでしょう。酒粕の香りは魚の生臭さを取り除き、旨味成分のアミノ酸が食感をしっとりと柔らかくして、素材の味をより一層引き立ててくれます。丁寧に下処理を施した魚や肉などを酒粕に漬けることで、粕漬は芳香で豊かな味わいを持つ、美味しい調理法の一つとして確立され、進化してきたのです。

魚種ごとに一番美味しい大きさに切り分け
 魚久では、産地から届いた魚を東京都江東区にある同社の一次工場に運び、ここで切身に加工しています。

魚種ごとに一番美味しい大きさに切り分け

 室屋浩孝工場長は切身の加工について「魚の頭に近いところから尻尾に近いところまでどの部位でも、同じような形に切り分けていかなければならないのが難しい点です。また、1枚の切身の大きさは、漬かりやすさや食べやすさなどから最終的に100gになるように調整しています。漬けている間に切身から出る脂や水分の量を考えて、少し大きめに切っているんです。脂や水分は魚種によって微妙に違うため、例えば鮭なら105~115g、金目なら110~120gと魚種ごとに最適な大きさが決められています」と細部までこだわっていることを教えてくれました。

切身の過程その1

切身の過程その2

切身の過程その3

同工場では毎日、10人以上の職人によって、鮭やさわら、カジキなど約10種類の魚の切身約2万3000枚がつくられています。

同工場では毎日、10人以上の職人によって、鮭やさわら、カジキなど約10種類の魚の切身約2万3000枚がつくられています。

魚久の歴史
 株式会社魚久は大正3(1914)年に高級鮮魚商店として創業しました。鮮魚商店を継承した2代目店主の廣田年尾氏が、昭和15(1940)年に割烹料理店「魚久」も開店させると、そこで会席料理の一品として出していた粕漬が評判を呼びます。やがて、土産品としても販売するようになり、これが飛ぶように売れていったそうです。
 そして満を持して昭和40(1965)年に、日本初の粕漬専門店「京粕漬魚久」をオープン。現在までに直営店7店舗、全国の百貨店に30数店を出店するようになり、京粕漬魚久はお歳暮などの贈答品としても人気の高い有名ブランドになっています。

連載第2回は粕漬には欠かせない「塩振り」の秘密に迫ります。

 

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株式会社 魚久
本社 東京都中央区日本橋人形町1-1-20
TEL 03-3527-6868
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