旬の「じゅんさい」はどうしてヌルヌルしているの?

 旬の「じゅんさい」はどうしてヌルヌルしているの?

みなさん、「じゅんさい」という植物をご存知でしょうか?
普段口にする機会が少ない食材のひとつかもしれません。
5月から夏にかけてが旬で、まわりがヌルヌル、プルプルっとした姿が印象的です。
今日はそんな不思議な野菜、「じゅんさい」についてのお話です。

【食べるエメラルド?!といわれる「じゅんさい」とは】

じゅんさいとは、スイレンなどと同じように葉を水面に浮かべる水草で、澄んだ淡水の池沼で育つ植物です。
くるくると巻いた新芽を覆う、透明なゼリー状の「ぬめり」が特徴的で、「食べるエメラルド」とも称されています。
外敵の食害や、病原菌などから保護するために、ぬめりで覆われています。
つるりとした喉ごし、プリプリとした食感が珍重され、古くから料亭などで“水が育む夏の味覚”として食べられています。
世界に広く分布する植物ではありますが、日本や中国など狭い地域でしか食用とされていないそうです。
日本で生産量が一番多いのは、秋田県の三種町です。
年間数百トンの収穫があり、全国生産量の約9割を占めるそうです。
豊富な水資源に恵まれた、すばらしい環境であることがわかりますね。

【初夏の風物詩】

葉が若く、小さいほどゼリー状の物質が多いものが上等品といわれています
収穫は、晩春の5月~夏にかけての時期で、沼に小舟を浮かべ、水面下の若芽をひとつひとつ丁寧に摘みとる姿は、初夏の風物詩として知られています。
親指に琴の爪のようなカッターをつけ、ヌルヌルとしたじゅんさいを摘みとります。
竹棒1本で小舟を操り、最盛期になると1日に20~30kgも収穫するそうです。

【万葉集にも登場】

古名を「蓴(ぬなわ)」といい、古くから食べられていました。
「古事記」や「日本書紀」に記述がみられ、「万葉集」では歌にも詠まれているほどです。
ぬなわは「沼縄」の意味で、沼に生えて葉柄が細長く、縄に似ているところに由来しています。
小舟やたらい舟を浮かべて、新芽を摘みとる光景は格好の題材であったのでしょうね。

【絶滅の危機?!貴重な植物】

じゅんさいは「水が命」
清らかで水温の変化が少ない環境で、良質なじゅんさいが育ちます。
以前は日本全国で観察されていましたが、今は多くの都道府県で絶滅、または準絶滅危惧種となっており、大変貴重な植物です。
そのため、現在は田んぼを転用した人口沼での栽培が増えています。
絶滅や減少の要因としては、池沼の開発や水質の悪化などがあげられます。
生活排水や農薬・除草剤などが生息沼に流入すると、枯れてしまうそうです。
まさに、じゅんさいは水資源と流域の環境を知る、バロメーターともいえます。
これ以上、自然のじゅんさいが無くならないよう、守ってゆけるといいですね!


【ヌルヌルは食物繊維】

じゅんさいの成分は98%が水分でできています。
そのため、含まれている栄養素もきわめて少ないですが、特有のヌルヌルは、食物繊維の「ムチン」と呼ばれるぬめり成分です。
ムチンは、糖とたんぱく質が結合してできた多糖類の一種です。
納豆や山芋、ツバメの巣などのネバネバした食材に含まれるほか、人間の体内にも存在しており、主に目をうるおす涙や胃腸や鼻などの粘膜に多く含まれています。

【味わいと主な調理法】

生のじゅんさいの下ごしらえは、熱湯にサッとくぐらせて冷水にさらし、水気をよくきります。
高温で長時間加熱すると、独特のぬめりがなくなってしまうので注意しましょう。
びん詰のものは加熱済みなので、サッと水洗いするだけでいただけます。
つるんとしたのど越しと、葉のシャキシャキとした歯ざわりを楽しみます。
定番なのは酢の物にしたり、めんつゆをかけてそのまま食べたり、吸い物やみそ汁、鍋や蕎麦などに入れて食べられています。

食べたことが何度かありますが、いつも気になっていた「じゅんさい」。
今回知ることでぜひとも秋田県へ足を運び、夏の風物詩に触れてみたいと感じました。

 Text by ナナちゃん/食育インストラクター

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